最も見苦しく負けさせたい
あたしのなりたい人物像は卑怯者だって他人に言われるようなズルい人だ。
そういう言葉は他人を見下す時に使用されるが、下にある物を下に見る時には使わない。
上にある物を屁理屈で下にする時だけ使われる。
鬼滅の刃8巻で、上弦の参の鬼に対して、主人公の炭治郎は「逃げるな卑怯者」って言う。
人間は不利な条件で鬼と戦ってるから、有利な条件でしか戦ってない鬼は卑怯者だと言う趣旨だ。
だから鬼の負け、煉獄さんの勝ち、と言う論法になっているが、鬼は生き延び煉獄さんは死ぬ。
この図式に当てはめても、あたしはどちらになりたいかというと鬼の方だ。
負けて悔しいから、負けてないんだという屁理屈を考えなければならず、そこに卑怯者が生まれる。
誰かから卑怯だ、ズルい、って言われてる時点で、きっと何かしら利益を得たから批判されるのだ。
批判されても良いから利益を得たい。
その上で、損をした人は得をした人に不平を言うわけだが、言えば言うほど負けた言い訳になる。
こういう関係を見てると、他人にズルいとか卑怯だとか言われたら勝者の証だなと感じてしまう。
もちろんルール違反をした場合は、そのルールに基づいたペナルティで負けることになる。
でもペナルティを受けた人に対しては卑怯だとかズルいとかって言葉を浴びせることがない。
ルール違反してもペナルティを受けなかった人、違反スレスレで違反じゃない人が非難される。
例えば上級国民だったら交通事故で人を殺しても捕まらないから、ズルいって批判される。
じゃぁあたしはズルいって言われても良いから上級国民になる方が憧れるよと。
例えば法律で罰せられない悪い金儲けを思いついて、ズルいって言われても儲ける側になりたいよと。
この鬼滅の刃の場合では、つまりこっちの有利な条件で戦わないやつは卑怯だと言う話だ。
こちらの有利な条件で戦ってくださいお願いします、ではない。
負けた方が勝った方に、気分を悪くさせたくて悪口を言うだけになってしまう。
負けて悪口を言うってのは、勝負に負けただけでなく、精神性でも負けてるって気がするのね。
つまり逆の立場から言うと、勝負にも勝って精神性でも勝ってダブル勝利の状態になる。
ただ勝つだけでなく、卑怯者だズルいだって言われると言うことはダブル勝利だ。
どうしても勝ちたいから飛車角落としてくださいってお願いしてるわけではない。
飛車角を落とさずに戦うやつは卑怯者だとまで言わせたら、大きな実力差を認めさせた事になる。
YouTubeで筋トレ関連の動画を見てたら、ステロイドユーザーをどう思うかみたいなのがあった。
ちゃんとそれが体に悪いからとか、ルール違反だからとか、まともな理由で反対してた。
けどいちいち全部、自分は真面目にやってるのにズルしてる人がいるという恨み節を挟む。
ステロイドがなければ自分が勝つんだから、ステロイドを使ってる人の負けだと言う炭治郎方式だ。
こっちはそのまともな反対理由の方を詳しく聞きたかったが、いちいち負け惜しみばかり言う。
あとこれもダメだし、それにこれもダメだし、って足していくのもみっともなかった。
ステロイドを使わないと言う道を自分で選んだくせに、そのせいでストレスためすぎだよね。
思い通りにならなさ、勝ちたさ勝てなさで、たぶん有名なすごい人なんだろうけど惨めだった。
「がんばってがんばってあきらめれば良いんですよ」のところが印象的だった。
この動画、言ってることはステロイド反対だけど、ステロイドって効くんだなと強調してないか。
共演してる人も友人があり得ないスピードでデカくなった話してて、じゃぁすごいのかって思うよ。
その上この哀れなほどの負け惜しみ連呼してる人みたいになりたくないと思わせる。
この図式でもやっぱりあたしはズルいって言われる方に回りたい。
ストレス貯めて恨み節でおかしくなってる人の方は絶対やだ。