もはやポップの大冒険

ダイの大冒険はドラクエの便乗漫画として、バカにしてあまり期待せず読んでいた。
ドラクエのキャラクターが鳥山明だし、ジャンプがドラクエを流行らせたと言っても良い。
ジャンプの一番最初に袋とじが付いてて、そこにドラクエの最新情報がいつも掲載されていた。
そう言うタイアップの一環で、コロコロのポケモンみたいにダイの大冒険は連載されていた。
ドラクエの本編とは異なるストーリーなので、読まなくても良い漫画という認識だった。
悪く言うと偽物のドラクエで、当時はいろんな偽ドラクエ漫画があった中の一つだと思ってた。
ところがオリジナリティが出てきてちゃんとジャンプらしい漫画として成立していった。
特に竜の紋章の話が出たあたりから、あたしは引き込まれて楽しみに読み出したね。
当時のあたしの心をくすぐったのは「実は人間じゃなかった」って言うよくあるパターンだった。
未だにあたしは仮面ライダーのシリーズにはまるけど、仮面ライダーには特にそれが多い。
主人公がオルフェノクだった、ファンガイアだった、ギフ様の血縁だった、みたいなやつだ。
ジャンプだと悟空がサイヤ人だった的なことなので非常にありがち。
連載時にあたしが面白く感じた部分は、主人公のダイがそう言う魅力を発揮した事だった。
けど今、アニメの放送を見て面白いのはサブキャラの面々で、特にポップが好きすぎる。
ドラえもんがのび太視点であるように、銀魂がシンパチ視点であるように、これポップ視点だね。
ダイという希有な存在を、凡人設定のポップに感情移入して楽しみなさいって事だったのかな。
ひょっとしてキャプ翼も石崎視点で見る漫画だったかも知れない。

ダイの魅力にとりつかれてた頃は、ポップはたかが人間としか思えてなかったのよ。
人間はいっぱい出てくるし、その全員を足してもダイの魅力に敵わないくらいで読んでた。
ポップとマアムの関係性みたいなものには全然興味もなかったね。
ただ強くなって勝ち進むジャンプ型の漫画としか考えてなかった。
ダイの恋愛ならまだしも、脇役の恋愛なんかどうでも良かった。
これがオッサンになってアニメで見たら、もうダイなんかどうでも良いくらいポップだね。
ミナカトールのところで勇気だと判明するところなんか思いだしてもゾクゾクする。
昔はダイに移入してたのに今はポップに移入して、その移入してるキャラが勇気だと素晴らしい。
あたしは勇気なくいつ死んでも良くて暮らしてるからな。
勇気なんてものは神に選ばれて生誕した主人公だけが持ってて良い能力だ。
ダイに最もふさわしい能力を、主人公ではなく凡人であるポップが持ってた事が感動させる。
それはまるでダイが人間じゃなかったのと同等の、ポップが勇者だった展開と言えるわけだ。
移入してるキャラの人間じゃなかった展開って事がサブキャラで発生している。

アニメ化されても序盤はそんなにポップを意識してみてなかったんだよ。
けど終盤は完全にポップしか見えなくなった。
ひょっとしたら序盤から既にメチャクチャ魅力的なキャラだったのかも知れない。
あたしはだいぶ後半で魅力に気付き、ポップ活躍回には心躍らされている。
昔ならせいぜいヒュンケルは魅力を感じたと思うが、ポップは絶対なかったな。
ノスタルジーだけでアニメを見てたが、こういう変化を感じて良かった。

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