陣取りから石取りへ

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昨日のNHK杯を見ていたら、最初は教科書通りの陣取りを行う囲碁だったのに、
途中から石取り勝負に移り、その石取りに負けた方が降参して中押し。
それを見てようやく、囲碁の面白さを理解するために一歩前進したかなと思えた。

囲碁は陣取り要素と石取り要素があり、陣地を取っても石を取っても同じ一目だ。
だから、陣地を取りに行くべきか石を取りに行くべきかと、初心者は必ず考える。
で、石を取りに行ってみるとなかなか取れないことが分かる。
むしろ石を取ろうと必死で追いかけるほどにスキができ、逆に取られることになったりする。
結局、相手に石を取られないように気をつけて打てば、相手の石を取る攻撃力も発揮できない。
これに気がつくと、初心者は相手の石をむやみに取りに行くより、自分の石を守ろうという方針を固める。
石同士をガチガチにつなげてしまえば、なかなか取れない強い石に自然となるから簡単だ。
石を取られさえしなければ一方的な負けはなくなるので一つステップアップだが、
そうやって自分の石を守っている間に、今度は素早く陣地を取られて負けちゃうんだな。
陣地をより多く取るには、石をあんまりつなげないで盤上にばらまかなければいけない。
しかしあまりにもつながってない寂しい石は、囲まれて取られちゃうことになる。
つなげて打つと陣取りに負け、離して打つと石取りに負けるという、実に良くできたゲームだったのだ。

あたしの場合、コンピューターに石を取られていじめられ、石を取られないように打とうと腕を磨いた結果、
確かに石を取られないような打ち方が出来るようになったが、それは正しい防御法ではなかったようだ。
というのも、囲碁では戦いが発生する打ち方と戦いを避ける打ち方が存在する。
戦いになれば必ず負けて石を取られると思っているから、戦い自体を避ける事で石を守っていたのだ。
陣取りのためにもう一歩踏み出したい時でも、踏み出せば戦いになって石を取られるから踏み出さない。
そうすれば囲碁は先手が有利なゲームだから、その有利を最後まで守りきって勝つことが出来る。
戦ってこそのゲームなのに、戦わないでハンデ分の勝利って、そりゃゲームした事にすらなってないわ。
戦わないからこそ詰碁などの問題が役に立ってないんであって、戦うには詰碁ができなきゃだめじゃん。
しかしどこまでが勝てる戦いで、どこからが無謀な戦いかの区別がついていないから、やっぱり戦いたくない。
あたしが超えなきゃいけない壁は、どうやらここらへんにあるようだ。

書籍の方は順調に消化し、昨日までで「ひと目の布石」を読破した。
読破はしたが、後半は全く理解できなかった。
答えの見当も付かないし、正答と変化図を見てもなぜ正解なのか読み取れない。
不正解の図と比べて有利になったように見えない。
前半はいかにも急場な所と大場な所が出てきて、急場な方を選べば正解っていう問題だけだったから、
答えを見れば納得することばかりだったのに、後半は全く分からなかった。
ひと目のシリーズ3冊は、そのうちまた復習に使わなければいけない。

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