今さらスラムダンク![](/searchicon.gif)
嫁がどこかからスラムダンクの単行本を貰ってきたので、全部読み返した。
そしたら、連載当時は唐突だと感じた終わり方が、知ってて読むとごく自然に感じた。
終わるぞ終わるぞって言う空気を出しまくって、ちゃんと大団円で終わってたわ。
しかし連載当時は、ジャンプのシステムが例外を許さず強力に機能していた。
不人気漫画が打ち切られるのは当然だが、人気漫画は引き延ばしてずっと続くと信じてしまっていた。
ドラゴンボールとかは毎週ほんの数ページしか進まず、掲載されるための掲載が続いていた。
それと同じくらい大人気の看板になったスラムダンクがよもや終わるとは考えられなかった。
作品中では今見ると終わりそうな表現がちりばめられていたのに、そうは見えてなかった。
また、全国大会の偵察に行った回で登場したライバルたちとも戦わずに終了している。
桜木とぶつかったヒロシとは決勝まで当たらないから、てっきり決勝までやると思い込んだ。
強そうなやつを登場させておきながら戦わずに連載終了したことに面食らったかも知れない。
ただ、本当に致命的に絶対に終わるしかない出来事は、ヤマオー戦での桜木のケガだ。
これのせいで、たとえヤマオーに勝っても次は主人公が出られない試合になる事が決定した。
主人公が出られないまま優勝まで行くわけないので、じゃぁ今大会はどこかで負けるしかない。
今大会で負けたら、また陵南戦とか海南戦とかから上がっていくところを面白く書けるだろうか。
いや、素人の桜木が強くなるところが面白いのであって、この時点で既に素人ではない。
シュートできるようになって完成された桜木で、もう一度県大会から面白い漫画は書けないだろう。
ケガしたところで、あぁ、この試合で終わりだなと悟れるはずだった。
けどジャンプのシステムとか回収してないライバルが、まだ終わらないと信じさせた。
信じてるせいで気がつかなかったけど、バスケを始めてからその日までの回想シーンがあるのよ。
この回想シーンこそが、もう終わる漫画の終わる証拠だったじゃないか。
ラスボスを倒す直前に、そこまでの努力を思い出させる表現がもう出ちゃってるじゃないか。
これを見てもなお、まだ終わらないと思わせるほど、ジャンプは人気漫画が終わらなかったんだわ。
スラムダンクと言えば突然終わった思い出が一番最初に蘇る。
終わったというインパクトで、他のことがかき消されてしまうのは非常にもったいない。
読み返すのは初めてじゃないけど、今こそやっと、突然じゃなかったことを受け入れられた。
黒子のバスケとかハイキューとかは全国制覇するための漫画じゃん。
全国のライバルに勝つ事が物語の背骨になっている。
ところがスラムダンクでは、県内ですら勝ってない学校、勝ってない選手が残っている。
ましてや全国では2試合しかやってない。
全部勝って終わり、全員と勝負して全員を攻略する、って言う漫画ではなかった。
けどその2試合目を面白さのピークにするために、解決すべき事を全て解決している。
不良の桜木が女ではなくバスケットを好きになったよと言う事を、ちゃんと書いて終わってる。
気に食わないやつでしかなかった流川とも、お互いに認め合って終わっている。
湘北の全員を最大限に面白くキャラを引き出し、ヤマオー戦までで全部出し切っている。
完全にやりきって終わってる。
他の漫画が決勝をピークにしてるけど、スラムダンクはヤマオー戦だったと言うだけの違いだ。
終わると思ってないからスルーしてしまってた、様々な終わるサインが既にあった。
これは逆に、決勝戦までやると終わるサインが目立ちすぎてつまらなくなってたはずだ。
まだ終わらないと思ってみる2回戦だからこそ、こんなにも終わりそうなのを面白く見れた。
だらだら引き延ばさず、ギュッと詰め込んだヤマオー戦だからこそ面白かった。
面白すぎて、こんなに面白いならジャンプじゃ引き延ばされるだろうと安心してた。
今思えばなんだけど、この全国制覇しない終わりって、全国制覇するよりよっぽど良かったなと。
んで、当時は続きの連載が始まることを信じてたんだよ。
どこぞの黒板に書いたときにようやく完全に諦めたけど、連載をずっと待っていた。
面白い漫画が終わるわけない、休んでるだけだと、勝手に思い込んでいた。
けどこれは今思えば、逆にこれほど綺麗に書ききって終わったのに、続くわけがないんだわ。
面白かったからこそ続くと思ってたが、面白かったからこそこれで終わりなんだよな。
ほかの全国制覇する漫画でも、なかなか2年生には上がらずに1年生で終わる。
それは1年生の決勝戦で全部書き切るからであって、2年生分のネタを残してないんだわ。
スラムダンクもヤマオー戦まででネタを出し切ってる事に、当時は気がつけてなかったんだな。
リップサービスで続きを書くかも知れないとか言ったかもしれないが、現実的に無理だね。
後日談ぐらいはせいぜい書けたとしても、当時期待した、桜木がもっと試合する話は書けないね。
成長が面白かったのに、ある程度成長し終わったからもう書くことないだろうさ。