難問にイチャ問
一冊の詰碁集に様々な難易度の詰碁を掲載し、対象読者を増やす方針もあるだろうが、
そうやって作られた本は、ちょうどいい難易度の問題が少なくなってしまう。
たとえば10級から初段まで、多くの人が楽しめるってのが売りの本を5級の人が買うと、
最初の方は簡単すぎてつまらないし、最後の方は難しすぎてつまらない。
誰が読んでも楽しめるつもりが、誰が読んでもちょっとしか楽しめない事になってしまう。
そうならないよう、一冊の詰碁集であまり対象読者を広げず、一定難易度で統一した本が好きだ。
今やってる詰碁レベル1は、簡単すぎる問題も難しすぎる問題もなく、全部難しく統一されている。
ちょうど良い難易度よりチョッピリ上だが、上すぎる問題がないの安心して取り組んでいる。
やっと半分過ぎたぐらいまで読んだが、このまま最後まで、難しすぎない難易度で終わりそう。
あまりにも一定難易度の問題ばかりなので、他の本の難易度幅が不満に思えてきた。
「初段合格の死活」は、最初の方ほど易しく、最後の方は難しく、難易度に幅があるのだが、
他の本でもこの程度の幅はあるので、全くの許容範囲と考えていた。
だが、詰碁レベル1には載ってないほど易しい問題と、詰碁レベル1に載ってないほど難しい問題があり、
タイトルで初段に限定しているわりには、ずいぶんと厳選してない問題を載せたなと感じた。
簡単な問題については、「ひと目」で答えを出せと要求されているので、そのぶん簡単でも許せる。
だが、ものすごく難しい問題に対しては、なぜこの本にこの問題を載せたのか、非常に疑問だ。
「初段合格の死活」で最も難しいと思うのは、281ページの問題132、5分で初段の問題だ。
ヒントは「捨て石の使い手になって下さい」だそうだ。
失敗図では、黒7でアタリを仕掛けると石の下が成立するという例が書いてある。
死活を解く際は、まずスペースを狭める手から考え、それで勝てなければ急所に打てと言われる。
この問題では、白が三つに分離しているので、狭める手も三種類以上、どこから打つか考える。
仮に三箇所全部を狭めて6手進んだ図を想像し、7手目で急所を考えても、もちろん答えは出ない。
先に急所を探して飛び込もうとしても、いくつか候補を探してもどうにもならない。
最終的に答えは、狭める手からの出切りだが、その後も手筋連発で、7手目まで失敗は許されない。
この問題をヨミだけで総当たりして答えを出すとしたら、出切りに到達するのは何パターン目だろうか。
その何パターン目まで到達するまで全部、7手目までで成功できるか総当たりするのか。
5手目での失敗は省略、7手目で失敗する図が掲載されているほど難しく、
さらにこの後、11手目まで進行してようやく、押す手なしの形が完成する。
これを5分で解くのが初段レベルだというのか。
まぁ、既に何回も繰り返していて、この問題だけが難しいから、この問題だけは暗記しちゃってて、
暗記したからこそ解けるようになったけれども、これと同レベルの別の問題が出たら絶対解けない。
ヒントの捨て石というのを参考に、すぐに出切りを想像する必要があったのだろうか。
詰碁レベル1には、こういう絶望的に難しい問題がなく、すごく気に入っている。