チームワークというテーゼ

これは全員野球のサッカー版を見せているんだな。
監督も選手達も口を開けばチームワークが勝因だという。
確かにチームワークは良いんだろうが、勝因は度重なる圧倒的強運だろう。
それでもあえて、これほど一致団結をアピールする彼らに対し、勝利以上の功績を称えるべきだ。
今まではサッカーで誰々みたいに活躍したいなどと、個人のヒーローに憧れていた子供達に、
これからはチームでまとまって全員の力で勝つ方が良いんだよと、
日本という国はヒーローよりもチームワークなんだよっていう教育になっていて、実に素晴らしい。
これぞ日本の美学であり、ヒーローになれない一般国民はこの方が断然盛り上がる。
なかなかやりたくても出来ないし、やってもなかなか結果がついてこない。
しかし今回は恐ろしいほど強運で、内容はさておき、ともかく結果だけは絶好調だ。
いや、内容がさておきだからこそ、一人のヒーローではなく全員で勝ってるイメージが強い。
ヒヤヒヤしながら不思議と結果が出ているこの状況を、良く言えばチームワークになるんだな。
それで良いと思う。

グループリーグを突破するかどうかは大きな事に思えて、実はベスト16かベスト32かの違いしかない。
3試合こなしてようやく一つ上に上がれただけだ。
ちゃんと各グループに強豪が分散し、引き分けや負けがあっても2位で上がれるという甘さがあった。
しかし次に勝つかどうかはベスト8とベスト16の違いであり、ベスト8ならもう強豪の仲間入りだし、
引き分けはなく、延長戦をやってPK戦もやり、一発で決まってしまう。
しかも今回はグループリーグに運良く南米チームが入ってなかったが、いよいよ南米とあたる。
このチームワークと称する強運サッカーがもしパラグアイにも通用したらすごい事だし、
そりゃ本当にベスト8の強豪と名乗って問題ないと思う。
負けたらここまで運が良すぎたと言われて終わりだが、勝てたら完全に世界が驚く。
あたしはカメルーン戦から驚きっぱなしだが、次はいよいよ世界が驚くかどうかだ。

強い相手にはより強く、弱い相手にはより弱く、うまく行くときは信じられないほどうまく行き、
うまく行かないときは現実に呼び戻され、決定力がないせいで運に左右されすぎ、
運が悪ければころっと負ける不確定すぎるチームという印象があるのだが、
これが運ではなくチームワークなら、不確定要素ではなく実力であり、どことあたっても発揮出来るはず。

ヨーロッパのサッカーに憧れてマネしつづけたけど無理だと気がついて、
方向転換して日本らしいサッカーをしてるんだって事は分かるが、
日本人ですらその日本らしいサッカーを見慣れてなくて、鬼のような強運にしか見えない。
あたしは日本が運良く守るたび、運良く点数決めるたび、喜びよりも笑いがこみ上げる。
なんじゃこりゃって笑わせながらぜか勝つスタイルを、日本はチームワークで極めたのかも知れない。
すごい面白かった。

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