形慣れ

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林海峰の「実戦死活の急所」は半分くらいが詰碁問題集で、残りの半分が死活の解説になっている。
問題集部分は先番を統一してないし、解説部分ともあまり関係がないので、わざわざやらない。
しかし解説部分の方はとても丁寧で、例えば同じ形でどこのダメが空けばどう変わるかを説明している。
また、星に打ち込んで生きれるかどうかも検討してるし、詰碁部分を除外すればなかなかいい本かも。
あたしは他にたくさん問題集を買っているせいで、この本の問題集部分に不満だが、
問題集をほとんど持ってない人なら、問題集もついててお得だねって思うかも知れない。

その解説部分を読んでると、双方最善の応手に辿り着くまでを説明しているので、
死活の本であるにもかかわらず、定石の本を読んでいるかのような感覚になった。
もちろん定石よりも手数が少ないし、定石と違って成功と失敗ではわかりやすい差が出る。
定石は手数が多い上に、攻めてるんだか守ってるんだか手を抜けるんだか、判断が難しい。
死活なんて定石に比べれば初歩的なことをやってるに過ぎないんだなと思った。

似たような形を比較して研究するっていうのが、形に対する理解を深めてくれる感じがした。
取り上げられている形は、今までいろんな詰碁問題集で何度も見たことのあるようなのばっかり。
見たことある形ばかりだから、急所も覚えているものばかりで、サクサク読めた。
その形にダメやハネの微変更を施して再出題されるので、知ってる急所がなぜ急所なのかまでわかる。
これが基本死活と言うことなんだなと思った。

満足したので、忘れた頃にまた読むかもしれないが、繰り返し練習するには問題集形式が良い。

そこでやっぱり白江式だ。
難しくて何度も挫折したのに、ついに今、一番好きな本になった。
1ページに二問出題していることも、解説が少ないことも、失題があることも、許せるくらい気に入った。
似ている形を出題するおかげで、同じ解き方を別の問題に適用すればどうなるかを考えてしまう。
で、なぜ、あるときは正解になりうる手順が、またあるときは通用しないのか、その差を考えてしまう。
そういうことに納得する度に、別の問題に応用できそうな手応えを感じる。

何段とか書いていないので、誰にとっての「これで十分」なのかあやしい。
同様に、何段までの人が「上達する」って言ってるのかもあやしい。
この本を征服するほど読んでも、どのくらいの実力だろうという指針はなにもない。
でも本当に「これで十分」なほど「上達する」ような予感がしてきた。
絶版残念。

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