姉歯とヒューザーの話#2

姉歯の件で世論がヒューザーに怒りの矛先を向けるのは、見当違いだという話の続き。

「鉄筋の量を減らさなければ取引先を変更する」と、”圧力”をかけられたと姉歯。
コレは全然悪い事じゃなくて、逆にコレが圧力だと感じる姉歯の姿勢に問題がある。
もし、姉歯以外にも不正をやって儲ける建築士がたくさんいるのなら、
別の建築士に頼めばもっと安くなるわけだから、姉歯も同様に不正で儲けようとするし、
そうだとすれば建築士という免許自体が、そして建築業界自体がもう全然ダメってこと。
しかし、他に不正を働く建築士はいないはずで、いないと言う前提で話せば、
不正をやることで他社より多くの仕事を請け負うことが出来た姉歯が全面的に悪い。
そもそも、建設屋もヒューザーも構造計算出来ないから建築士を頼むんであって、
自前でそういうことが出来るなら姉歯に依頼することすらしなかったわけだから、
この点では素人であり、姉歯は資格を有するプロとしての対応が必要じゃないのか。
鉄筋の量を減らせば地震で倒壊するよと姉歯が説明しなきゃいけないし、
それが検査機関を通るかどうかだけの問題ではないと説明しなきゃいけない。
一般人でも、同じ買い物ならより安いところから買うのが当たり前であり、
それが”同じ買い物”であるかどうかを売主が偽っていない事が判断の前提だから、
限界を超えて鉄筋を減らすと”同じ買い物”でなくなるという指摘は姉歯の仕事だ。
もっと安くならないのか?そこは減らせるんじゃないのか?という話は、
資格を有しない側としては当たり前の交渉であり、断るのが姉歯の義務だ。
これを取引先からのプレッシャーだと表現し、犯罪を行う営業姿勢が非常に問題だ。

ヒューザーに何か責任があるかのような報道が一般的だが、
じゃぁヒューザーにはこういった不正を防ぐことが本当に出来ただろうか。
資格を有する建築士の構造計算だし、国定の検査機関がチェックしてるのに、
その両方をあらかじめ疑って、さらに第三の検査機関に依頼してチェックしろと言うのか。
じゃぁその第三の検査機関が、建築士や国定の検査機関より信頼できると言えるのか。
第三の機関の不正をただすために第四の検査機関も必要なのか。
いや、どれも必要ない。
ヒューザーは国を信頼し、免許を信頼して正当に仕事しただけだ。
法律上、建物を売ったヒューザーが全責任を負う事になるのだが、
この法律自体、建築士も検査機関も100%機能していると言う前提があってこそ成立し、
今回のような件では、どこにも過失がないのに責任だけ取らさせることになる。
どこからどう見てもヒューザーはただの被害者だ。
あくまで、事前に姉歯の悪事を知らずに建設したと信じた場合の話だがね。

世の中では責任逃れしてるって言われてるけど、逆に責任追及する方が無意味だろ。
誰が悪いのかに関わらず、賠償金は金のある場所からしか出ない。
悪いヤツから無限に金が取れる法律なんてないわけで、金は沸いてこないわけで、
悪いヤツほど悪事が発覚した時点では取れる金なんてほとんどないわけで、
今は金ありそうなヒューザーに何とかして金を絞り出してもらうしかなく、
根拠のないバッシングしても無意味だし、逆に損することになる。
ヒューザーが今ある金を全部補償金に充てて、金がつきて倒産すれば残債はすべて放棄だ。
ほとんどのマンション購入者は泣き寝入りするしかない。
金銭面で当事者を救済するシステムがないのは非常に問題であり、
不動産業界では本当にわずかだが保証金みたいなシステムがあるのだが、
建設業界は本当に無責任に何でも出来ちゃうのが現状なんだよね。

「一級建築士が構造計算し、検査も通ったから安心です」と言えない世の中になれば、
いったい何を持って買う側は安心し、売る側も万全だと考えることが出来るのか。
100万円分しか責任もてない程度の建築士にも10億の建物の構造計算を任せちゃうのは、
資格の信頼が前提なわけだから、ヒューザーが姉歯に任せた事が過失だとすれば、
建築士という資格は信用するなということであり、じゃぁ何を信頼するかと言えば、
やはり金しかないんであって、10億の建物は10億補償できる建築士の仕事になる。
マンション売買時の重要事項説明書には、建築士の資産総額まで書くことになる。
したら住宅の供給が極端に減り、テント生活を免れるのは一部の金持ちだけになるかも。
そこまでなるかも知れないほどに、構造計算の信頼が失われた事は大問題だ。
姉歯が一人で住宅供給のシステム全体を崩壊に追い込むことになるかもな。

ともかく圧力云々については、そう感じた姉歯に重要な問題があり、
チクリしたつもりが自分の立場をおとしめているっていう状況に見える。
続き

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