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2008年 11月 8日 のアーカイブ
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なかなか気に入ったのでもう少し褒めておこう。
こいつは基本死活を詰碁スタイルで体系的に学習できる本だ。
詰碁スタイルでない本とか、体系的でない本はいろいろあるが、両立している所が特徴だ。

ヒカルの碁では詰碁を1問につき10秒以内で解くというトレーニングが登場する。
それをマネして実際にやってみると、初めて見る問題では初手を探すところからなので、
いくつかの初手を試し、その応手をいろいろ考えて、うまく行きそうな候補を検討して答えを出していたら、
優に数分かかってしまうわけで、かなり簡単な問題でも10秒ではヨミが追いつかない。
10秒で答えを出すとしたら、すでに初手と主な変化を暗記している問題で、
自分の暗記が正しいかどうかを、様々な応手で確認するだけなら、それでだいたい10秒だ。
すなわち、10秒以内に解くトレーニングとは、暗記してもなお繰り返し同じ詰碁をやる事に他ならない。

じゃ、どうせ暗記するなら、暗記しても実戦に応用できない詰碁よりも、
暗記すれば実戦に応用できる詰碁を早解きトレーニングに使った方が得であろうと。
実戦に応用できる形として、基本死活というジャンルがあり、
実戦に役立つことをウリにした詰碁本では、基本死活から流用した問題が多数出題される。
そういうのをやればいい。

ところが、多くの詰碁集にはそれぞれ短所があり、なかなか完全に気に入る物がない。
たとえば、どうやら丸々一冊既存のパクリ問題ばかりの詰碁集というのは出したくないようで、
基本死活だけではなく、作者独自の創作応用問題も多数収録されているのが普通だ。
応用問題が多ければ多いほど、基本問題が少なくなるので、基本だけ暗記したい人には不向きとなる。
また、多くの基本死活が掲載されていても、順番が体系的でない場合が多く、
それだと類似の形を比較しながら覚えるという用途には向かない。

かといって、基本だけしか掲載されてなくて、しかも体系的に整理されてる物を選ぶと、
詰碁になってない物が多いため、その詰碁早解きトレーニングに使える題材ではなくなってしまうんだな。
せっかく暗記するのに、暗記しても実戦に応用できないかもしれない問題ばかりじゃ士気に関わる。

そこで、詰碁として使える物で、かつ体系的で基本死活のみを扱った本を探したところ、
この「基本死活 虎の巻」ぐらいしか、トレーニングに使いやすそうなのはなかった。
左ページに一問出題し、めくると右ページに答えがあるというスタイルだし、
隅の六目型、隅の八目型と、類似系を順番に出題しているし、これしかないだろう。

正直、これだって不満なところはある。
黒先に統一してないという点は不満だが、どうせ形を覚えれば先番と結果も覚えるんだから妥協できる。
解答ページの何段目が正答なのか統一してない点も、どうせ暗記するんだから妥協だな。
どんな定石からこの死活が派生するのかが書いてない所も不満だが、それはまずは死活を覚えてからだ。
あと、日本棋院の囲碁文庫は強度に問題があるということが最大の不満か。

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