アーカイブ

2006年 7月 10日 のアーカイブ
3117 letters | 478 views | コメントする

もうP2Pの旗色どころではなくなって、先進国のプライドとかもヤバそうだ。

それとは別に、どうしてWinnyがファイル交換ソフトと表記されるのだろうな。
WinMXとかだと、たしか転送のリクエストを弾く機能がついていて、
自分で監視し続けるか、監視用ソフトを使うことで、交換状態をを成立させることはあった。
自分だけ何かファイルを提供して、何も得ないのは損だという風潮もあったし、
相手にダウンロード回線を確保させるために、自分もアップロード回線を開けておく必要があり、
何の得にもならないダウンロードオンリーメンバー(DOM)は邪魔がられたものだ。
あたしゃMXの時点でも、名前欄にDOMとか入力し、何も提供せずに落とすアピールをしていた。
すると、とりあえず汚い言葉をかけられて、しばらくして切断される。
でも別にその人からダウンロードしなくても良いんだから、時間さえかければどうにでもなった。
逆に、MXに張り付いて交渉する時間とかはもったいなくて、
それよりなら、交渉も何もナシで、誰かガードの甘い人から落ちるのを待った方が、
落ちるまでの時間は長いけれども、その時間は放置で良いので効率的だった。
そんなわけで、MXですら「交換」なんてしなかったので、nyで「交換」は凄く違和感がある。
なにせnyは、ファイル所有者と交渉するどころか、所有者を特定しないのがウリ。
共有すなわちシェアという言葉なら自然だが、交換すなわちトレードっていう言葉は、
いかにも初めから犯罪行為をやってそうで、情報操作の意図を感じるな。

さて、裁判とかで旗色悪しの話だ。
あたしのようなDOMなユーザーの間でよく言われるのは、
日本ではアップロードが犯罪であって、ダウンロードは犯罪じゃないって話。
これは法律で決まってると言うだけで、実際はダウンロードだけじゃ成り立たないわけで、
ダウンロードはアップロードさせて成り立つ行為だから道徳的には同罪だ。
ま、買春を悪だというなら売春も悪という話と一緒な。
法律で取り締まるのがどっちかと、悪いのはどっちかは別の話と言うことで。
で、法律によってソフトを作った人が悪にされようとしているわけだ。
正確には、法律で悪に出来ないから、裁判で無理矢理に悪にしようとしている。
でも、犯罪が行われることを前提にWinny作った人が有罪ってことは、
ほかにも他人の犯罪の上に成り立ってる人は有罪にされちゃう国って事だよね。
もちろん、ダウンロードはアップロードが前提なわけで、有罪にされる日が来るかもしれない。
そもそもWinnyの類は、使い方がマニアックで手を出せない人が多かったわけだが、
パソコン雑誌が付録に付けて、使い方を丹念に説明して、その敷居を完全に取り払った。
雑誌さえ取り上げなければ、みんなコッソリした場所でコッソリやってたし、
やり方わからないような初心者は、元々が2chだから冷たく追い返されてたはずだ。
nyで違法なファイルを簡単に入手しようという記事を書き、利益をあげてきた雑誌こそが、
本当に有罪になるべき、真の犯罪者なのだが、ここは有罪にしても何の得もないからな。
そう、この件は我々日本人全体の損得を考えてやってるデキレース裁判なのだ。
誰か偉大な人間が、日本を守るためにでっち上げているのであり、真実などどうでも良いのだ。

Winnyを作った人と、雑誌の付録としてばらまいた人は、
新型の武器を発明した科学者と、その武器を量産して売りさばいた売人にあたり、
利用者はその武器を購入した人で、アップロードした人は殺人者に該当する。
もちろん殺人を実行した人は悪だし、自衛のための武器の所有でも道徳的には悪かもな。
でも国家が戦わなくちゃいけない悪は売人であり、発明した人を取り締まるのは不自然。
拳銃を作った人が誰かは知らないが、その人がいなければ拳銃は発明されなかっただろうか?
拳銃を取り締まるのに、販売ルートを叩くのは当たり前の手法ではないか。
それでも、雑誌社は全くのおとがめナシで、発明した人だけが有罪になるんだってさ。
コレは一番安易な見せしめで、全然理にかなっていないわけで、
中世ヨーロッパの動物裁判や魔女狩りに相当する、きわめて恥ずかしいデキレースに過ぎない。
良くもこんな話を堂々と、まるで正当な裁判をやったかのように新聞社は書くね。
ま、それも日本の利益を考えた、組織ぐるみの戦略として評価できるんだがね。

いや、要するにね、デキレースなのはわかりつつだが、認めざるを得ないわけよ。
日本の経済ってのは、パクろうと思えばすぐにパクれる著作物に大きく依存していて、
何でもコピーされちゃうと、経済的打撃が一番大きい国なのでしょうがない。
海外では日本のマンガやオモチャやお菓子の劣化コピーが蔓延し、商売にならないので、
せめて日本国内では市場を守りたいが、数百円のマンガまでスキャンされる有様。
そりゃー裁判だってデキレースで見せしめを出さなきゃやってられんさ。
テレビのデジタル化だって、いろんな理由付けてるが、結局コピーガードかけたいだけ。
MSなんかは完全にガードしちゃうと無料のOSに逃げられるので甘くしたりしてるが、
今のところ日本の知的財産は別のものに移るわけにいかないので封じられていく一方。
そういうシステムは軽蔑に値するが、経済を守るためなら仕方ないんだよな。
実際そうするべきだとは思うけど、裁判そのものへの信頼は揺らぐわけで、
その責任を取れる人身御供も必要だろう。
誰か知らないが「私が日本を守るために嘘の裁判をさせました」と、堂々と出てこいよ。

この件の応用で、駐車禁止の場所に駐車場のない店を出すと、
駐車違反を助長する行為として犯罪にしてくれたら非常に面白くなる。
この時、店側の言い分はきっと、Winny作者の言い分と全く同じになるだろうし、
御上の言い分をそのままこのケースに適用して考えればものすごく可哀想。
駐車違反をするなと張り紙していても、駐車違反を行った人がいた時点で店をたたむべきとか。
駐車場がないから路駐は仕方がないと発言したことがあるとか。
ま、それは日本全体の利益に絡みそうもないから、起こりえない未来だぜ。
Winnyの件は、あくまで日本のために無理矢理やってる例外的デキレースなのだから。

我々の国はこんなですよ。