スピード×力について

1840 letters | 856 views | コメントする

あたしは丸暗記が相当得意だったので、地域で最も頭が良い高校に行ったのだが、
そう言う高校では空手部と言えどもメチャクチャ頭が良い人がそろっている。
そこの鬼コーチが正拳突きをしながら「スピード×力はパワーだ」と言った件について、
そのメチャクチャ頭が良い空手部のみんなで隠れて笑ったりマネしたりしていたので、
もう一生そのフレーズは忘れられないんだけど、最近筋トレ関係の本で何度か同じフレーズを聞いていて、
バカにしていたんだけどどうやら一般的には正しいらしい。
メチャクチャ頭が良い連中にとって正しくないことだから笑ってたはずなんだが、
あたしには今のところ、それが正しいか正しくないか理解できる物理の知識がない。
間違ってるんだろうと思ってたことが正しかったらしいので、詳しく掘り下げる。
ただし知識はない。



そのフレーズに出てくるパワーとは仕事率であるって言ってるので、まさしく物理の専門用語だ。
少なくともあたしにとっては専門用語で、それを言われてもピンと来ない。
もし「スピード×力は仕事率だ」なんて、正拳突きをしながら言ったとしたら、
いかに頭の良い高校の空手部向けに言ったとしても、考え込んで稽古に集中出来ない。
深く考えず、鬼コーチはパンチの威力が強ければいいと言う意味で言ったのは間違いなく、
パンチの威力ならスピードに力ではなく質量をかけると思うんだよな。

鬼コーチはそのフレーズを格好いいと思って、意味を考えずに空手の世界に持ち込んでしまったと思う。
より速く、より強いパンチを出しなさいって言いたいのはわかるが、
現実は速いって事は既に強いって事であって、速くて弱いパンチとか、遅くて強いパンチはあり得ない。
よく、ジャブは速くて弱く、ストレートは遅くて強いイメージがあるけれども、
それはジャブだとモーションが小さくて移動距離が少ないから早く到達するだけだし、
ストレートは力を乗せるためにモーションが大きくて始動から到達までに時間がかかるだけだ。
強烈なパンチの方があたった瞬間のスピードが速いはず。
同じ速度のまま力が強いパンチと弱いパンチを実現するにはどうするかというと、
やっぱり鉄球を握るなどパンチそのもの質量を増やして、
重い物を速く動かさないと無理だ。
野球で言えば遅くて球威があるとか速くて球威がないとかって話になると思うが、
これならよっぽど野球バカでない限り、パンチよりわかりやすいはず。
いや、ひょっとしたら野球の方が迷信が横行してて誤解されやすいかも。
ともかく、速くて強いパンチを出せと言う指導には変わりないのだが、
強いパンチを目指せば自然と速いパンチにはなるはずなので、速さの定義がちょっと違ってて、
無駄なモーションがあるとパンチ自体が速くても全体として遅い事になるってのがポイントで、
最小のモーションでより力の乗ったパンチを出せるようになりなさいってのが、指導内容だったに違いない。
しかし、モーションが小さくて強いパンチを出せるなら、振りかぶればもっと強いパンチが出せるわけで、
モーションを小さくすることは仕事率もパンチ力もアップすることにはならない。
逆に、パンチ力や仕事率をアップするために大きく振りかぶりなさいと言う指導だったとすれば、
それは羽交い締めなどで押さえつけて何も出来ない相手から命を奪う練習であり、空手ではなくなる。

以上のことから、たとえ件のフレーズが正しくても、正拳突きに当てはめるのはやはり笑うべきだと思うね。
どういう場面で使った場合に「なるほど」と思うのかもよくわからないが、
格好良く聞こえて意味不明だから無駄に転用したくなるのもわかる。

たぶん関連のある記事:

コメントは終了しています。