誰も言わなかった碁の本
詰碁はパズルなので、読み進めながらも楽しむことが出来るのだが、
活字が主体の、強くなるコツを解説する本を見ていると、どうも眠たくなってしまう。
それでもあまり詰碁ばかりじゃ飽きるので、頑張ってこういう本も読んでみた。
強くなる方法といっても、結局は実戦と棋譜並べと詰碁をやれという結論に帰結する。
それじゃ強くなる本を読んでも強くはならないから読むなという、自己矛盾が発生するから困る。
読んで全くの無駄だったかといえばそうでもなく、さすが「誰も言わなかった」だけのことはあって、
初めて知ったことが随分たくさん書いてあったので、眠気が吹っ飛ぶこともよくあった。
ここだけは重要だからすぐ開けるようにしたいっていうページが、たぶん十箇所以上はあった。
この本にしろ依田ノートにしろ、強くなる本に共通して言えることだが、
ターゲット層は、強くなろうとして努力したにもかかわらず強くならなかった人だ。
だから、まだ努力をしてない初心者にはわからないことや出来ないことだらけ。
定石を覚えても強くならなかった人こそが、定石通りに打つだけじゃダメっていう内容の本を読むべきで、
まだ定石を覚えてもいない人は、定石を覚えれば強くなるかも知れないのでそっちの勉強が先だし、
詰碁をやっても強くならなかった人こそが、詰碁以外に何をやればいいかと問うべきで、
詰碁が十分でないならまず十分に詰碁をやって、それで強くなれるなら他の何かをやらなくてもよい。
こういう本は、定石ぐらい知ってる前提で書いてるし、用語も説明ナシで軽々しく出てくる。
それなりに勉強してなければ理解できないし、それなりに勉強してれば読まなくてもいい内容だ。
読まなくても強くなれたらそれがベスト。
最近はペーパーテストで自信をつけたので、すっかりベテラン気分になってたが、
実はまだ数ヶ月しかやってない初心者なんだよね。
しかも、対局を続けた数ヶ月ではなく、ペーパーテスト対策だけしてきた数ヶ月だ。
勉強した範囲は非常に狭く、詰碁や布石で使わない用語はまだ意味がわからない物ばかり。
最近ようやく「利かし」の意味はわかったつもりだが、「消し」の意味はイマイチわからずに読んだ。
そーいう、基本的なことを覚えた後で、覚えても強くならなくて停滞した人は、こういう本を読むべき。
逆に、初心者が流し読みしても、わからないことが何かを知るという収穫は望めるかも。
この本には、囲碁人口全体の内、有段者の人口は50分の1だと書いてある。
ペーパーテストで結構簡単に段は取れそうな感じだから、50分の1は大袈裟すぎると思ったのだが、
その話は棋力を判定する問題の章で冒頭に書かれているから、
それって、ペーパーテストで判定した程度の有段者でも50分の1とカウントして良いって事だろう。
テストで判断できることなんて、テストで判断できない事に比べたらごくわずかだが、
そのごくわずかの、せめてテストで判断出来る範囲だけなら、簡単に出来るんだからやればいいじゃん。
これからもペーパーテスト対策はおろそかにしたくない。
要するに、問題ばかりやって全然実戦をやらない現状で満足してるって話だが。