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2007年 10月 29日 のアーカイブ
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自分の趣味は何かということについて、正直に書けない人は多数いることだろう。
何と書いても別に損も得もないような状況では、ナシでも空欄でも何でも良いのだが、
あたしが初めて、自分の趣味を真剣に捏造しなければいけなくなったのは、高校受験の時だ。

正直な話、当時のあたしの趣味はファミコンとオラリーだ。
今でこそ子供がゲームやるのは普通になったから、もしかしたら堂々と宣言してやってるかも知れないが、
当時はファミコンなんかやってたら叱られることはあっても褒められる風潮など一切無く、
趣味はファミコンだなんて、書く前からどうせやり直しになる事はわかっていたものだ。
オラリーなんて中学生にもなれば全員やってることだが、そこに書くのは非常識。
別にあたしは無趣味なわけではなく、正直に書いてはいけないってことが障害になっていた。
趣味は何かという質問自体、本人の主体性を問うもので、正直でなければ何の意味もない。
しかし、正直に答えることが本人にとってマイナスにしかならず、無駄に趣味を捏造することになる。
マイナスになろうが、非常識であろうが、それでも正直に書く事が本当に良いこととは思えない。
やむを得ず嘘をつかなければいけないような質問を、大人がしてくるんだからしょうがないじゃん。

高校受験さえなければそんな嘘を考える必要もなかったが、あるものは仕方がないわけで、
そこに何を書くかによっては、面接の時に詳しく聞かれるかもしれないので、
聞かれても上手く答えられるような嘘を考えなきゃいけないし、
かといって、ありきたりのことを書いたら嘘を用意したことがバレバレになっちゃう。

たとえば読書などと書くのは、それが本当であれば高校側としては入学を歓迎したい。
だから、その読書ってのはどんな本を読んでるのかって追及される可能性があるわけだ。
マンガですって言ったらアウトだし、殺人が起るミステリー小説ですってのも微妙で、
もっと名作というか、大人が子供に読ませたい本をあえて読んで、良い子ですとアピールしなきゃいけない。
趣味って言ってるのに、好きな本とか面白い本ではなく、大人が薦める本を読んでるんじゃ、
逆にその子の主体性のなさを物語る気がしてくるわけだ。
面白そうでもない本を読んでまで趣味の欄に読書と書くつもりもないから、これはアウト。

当時から既に、J-POPが音楽に含まれないと思っていたから、音楽鑑賞と書くのもはばかられた。
音楽なら何でも聞きますって言ってる人に限って、全部J-POPとかの人が多かったからね。
かといって、J-POP以外の音楽を聴く習慣なんてなかったので、これも書けない。
映画の鑑賞だと金がかかるから、当時の中学生には無理。
ビックリマンシールやキン消しは集めていたが、切手収集と同列に書けるような高尚な物ではない。
既にプログラミングはやっていたが、ゲーム機でゲームしか作ってないんだから、ファミコンと同レベル。

ということで、考え抜いた結果、あたしの趣味は「パズルを解くこと」に決定した。
いかにも頭を使って考えることが好きそうな、詰め込み型の勉強はしてなさそうな印象操作だ。
パズルってどういうの?って聞かれたとしても、言葉を使った物でも図形を使った物でも、
雑誌に載っている物でもテレビに入っている物でも、そこら中にパズルは存在するわけで、
そういう、わからないものが考えてわかるのが面白いって答えればもう完璧だ。
実際の所、パズルなんてファミコンでしかやらないのだが。
大人達はファミコンがどういう物かも知らずにファミコンを嫌っているから、
まさかファミコンをパズルと表現して来るとは思うまい。

スポーツとか部活動をやっててそのまま書ける物がある人たちはそういう思いをしなかったんだろうな。
趣味はあるけど公表しても得にならないものばかりって人は、結構ストレスを感じていたはずだ。
よその人はどういう捏造をやったんだろうな。